2025年5月7日


障害者と教育について:世界の経験から
れいわ新選組 参議院兵庫県総支部長 米村明美
世界保健機構 (WHO)によると、今日、推定13億人、つまり世界人口の16%が重大な障害を抱えていると言われています。障害者は、健常者よりも寿命が短く、健康状態が悪く、日常生活に多くの制約を抱えています。こうした健康状態の悪さは、医療制度や、生活のあらゆる側面において、障害のある人が直面している不公平な状況に起因しています。私たちは、国際人権法に基づいて、障害のある人が直面する健康の不公平性に対処しなければなりません。
5月4日には、兵庫県尼崎市で行われた、参議院議員の木村英子さんを囲む会に参加してきました。「木村議員の弟として活動」されていると言われた参議院議員の天畠大輔さんと、お二人の活動報告を聞かせていただきました。主催の「木村英子さんを囲む会実行委員会」の皆様、司会を務めてくださった尼崎市議の田中じゅんじさん、兵庫県で特に問題になっている公平で開かれた政治について、ご尽力いただいている兵庫県会議員の丸尾まきさんのお話も聞けました。会場に入るエレベーターでは、「木村英子さんに会える!」と張り切っておられた参加者の、議員に対する大きな期待も実感しました。
木村さんには、当事者として、障害者と社会との関わり、そして議員になっていろんな法改正や実施を実現したことについてお話しいただき、天畠さんには、特に優生思想について報告いただきました。
中身の濃い会合ではありましたが、私も数分お時間いただいて、ユネスコで関わった障害者プログラムについて簡単に報告しました。以下、私の経験を振り返りながら、日本の現状について、また、今後の課題について考えました。
障害者と災害
20年も前の話ですが、2004年12月26日に起きた史上最大級の災害とされる、スマトラ島沖大地震の被害を受けたスリランカの様子を視察するために、障害者施設を訪ねました。津波の跡が壁に残っていると知らせてくれるスタッフや、寝たきりの人、車椅子を使う人等にお話を伺い、彼らは災害時には一人では逃げられないということを強調されていました。


撮影:米村明美 2005年5月、スリランカ、コロンボ(首都)
阪神・淡路大震災が起きた1995年から10年後の2005年、神戸市では国連防災世界会議が開催されました。その直前に起きたスマトラ島沖大地震を中心に、国際的な減災、予防のための国際協力の枠組み等が議論され、災害大国である日本の包括的・国際的貢献が求められました。
30年前に大震災を経験した兵庫県は特に、防災には力を入れていると思います。その一つが国際会議ですが、私も昨年「国際復興フォーラム2024」(2024年1月25日 兵庫県神戸市)に参加しました。ただ、昨年の元旦に起きた能登半島地震の対応が遅いと言われる中、この国際復興フォーラムで、全くそのことに触れていなかったのは非常に残念でした。その意味でも、木村議員の能登半島被災地輪島市視察は、インクルーシブ防災を確約させる大切な活動だと改めて思いました。
アフリカの開発における障害の主流化
2013年に国連主催のアフリカの障害に関する専門家会議が、エチオピアの首都アディスアベバで開催され、私は教育専門家として参加しました。そこで専門家たちが指摘した主要なポイントは以下の様なものでした。
- 当事者性:当事者こそが専門家。専門家会議には、車椅子を使う人、目の不自由な人等が専門家として参加し、当事者視点での意見を発表していました。中でも目の不自由な人がテクノロジーを駆使して、会議の進行に積極的に参加していたのに感動しました。
- データ:アフリカでは出生届などを出さない人が未だにいて、データが揃っていないのが問題です。特に障害者は社会で隠されているケースが多いのです。政策を作るにはまずは、どんな障害?性別は?何歳?何人?どこ住んでいるの?学校に行っているの?話している言語は?働いているの?等、データを集めることが第一歩です。
- 教育から就労まで:障害者を持つ親にとって、子供の就学や就職、特に親亡き後の生活に不安はつきものです。学校を無事卒業できても、働く場所がなければ、社会にも出にくくなり、孤立、差別に繋がりかねません。いろんな障害を持った人が、自分の興味と特技を活かし、尊厳を持って仕事に就けることが大切です。
最後に、障害と教育に関わる国連の代表的な条約や世界基準について紹介しました。中でも、教育の差別禁止条約に日本は批准していないと言う点を指摘し、日本の抱える課題を確認しました。
教育に関する国連の条約